肝移植とは
肝移植とは
進行した肝臓病(末期肝不全)の患者さんに対して、その肝臓を摘出し、そこへ臓器提供者の肝臓を移植する手術です。
肝移植を受ける患者さんをレシピエント(recipient)、臓器提供者をドナー(donor)と呼びます。
末期肝不全の治療手段として肝臓移植が登場したのは1960年代(欧米)のことでした。その後、手術技術の向上や薬の開発などによって、移植を受ける患者さんの数は増加してきました。現在、肝移植を受ける患者さんの数は、全世界で年間1万人に及んでいます。
日本では、1989年に生体肝移植(1)がはじまり、現在までに国内で3000例以上の生体肝移植手術が行われています。この方法が国内の肝移植のほとんどを占めています。
1997年には国内での脳死肝移植(2)が法的に認められ、一定の基準により登録して待機することは可能となりましたが、脳死肝移植の実施数はまだ非常に少ないのが現状です。(日本の肝 移植数の推移を図に示しました)日本での脳死肝移植の1例目は、1999年2月に信州大学で行われました。
移植後のこと ―例えば出産について―
肝移植後は80%以上のレシピエントが社会復帰しています。
肝移植という手術は決して負担の軽い手術ではありません。しかし、この手術を乗り越えた方々の社会復帰やQOL(quality of life:生活の質)は良好です。
たとえば移植後に元気な赤ちゃんを産む女性も珍しくなく、信州大学でも5名の方がかわいい赤ちゃんに恵まれています。肝移植を受けて健康な生活に戻られた方の移植後最長記録は、海外では30年を越えています。
生体肝移植と脳死肝移植
肝移植の方法としては、大きく分けて生体肝移植と脳死肝移植があります。
生体肝移植
生体肝移植では原則的に、親子間や兄弟姉妹、配偶者間など、近親者から (ドナーについて) 自発的な意思で臓器提供の申し出があった場合に、医学的・社会的条件を検討した上で実施します。
特にドナーとなる方は元来健康な方ですので、十分な説明と慎重な判断(適応検討委員会、倫理委員会を含む)のもとに行います。
なお、特殊な方法としてドミノ肝移植がありますが、その制約と限界から、さらに慎重に対応しています。
脳死肝移植
脳死移植を希望される方は、移植実施施設(できるだけお近くの施設をお勧めします。日本臓器移植ネットワークに連絡をされるのも一法です。)で適応評価を受けた後、脳死移植希望患者として日本臓器移植ネットワークの待機リストに登録する必要があります。
1997年の臓器移植法施行からこれまでに国内で行われた脳死肝移植は35例(平成18年12月現在)と限られていることから、特に急激に状態が悪化している患者さんに対しては、なかなか現実的な医療としてお勧めしにくい面もあるのが現状です。
受診を希望される方へ
肝移植についての相談をご希望の方は、クリニカルコーディネーターまで御連絡下さい。来院日等を調整いたします。
移植医療センター
〒390-8621
長野県松本市旭3-1-1
信州大学医学部附属病院
TEL:0263-37-2930
FAX:0263-37-3351
上記のいずれでも対応させていただきますが、正確な管理のためにFAXをご利用いただければ幸いです。