どんなときに肝移植を考えるか?
肝移植の対象となるのは、内科的あるいは外科的な従来の治療法によって治すことができない病気です。この点から見ると、肝移植は最後の手段として選ばれる選択肢です。しかし、病気が余りに進行した場合には、全身状態が悪化していることが多く、肝移植に耐えられないこともあります。この点から、肝移植が必要になるかもしれない病気の方には、早目に専門医とご相談されることをお勧めしています。
患者さんやご家族が「なぜもっと早く肝移植について話してくれなかったのか?」という思いを抱かないよう、努力していきたいと考えています。肝移植の必要な病気やその状態については、肝移植の経験を充分にもっている内科医や移植医と相談することが大切です。
肝移植治療の対象となる具体的な病気としては、下記のものが挙げられます。しかし、これらの病気と診断された方のすべてが肝移植の対象となるわけではありません。病気の程度や時期によって個別に判断していくことが重要です。
信州大学では、一人一人の患者さんについて、「肝移植が本当に妥当な治療法か?」、「リスクは高すぎないか?」、「臓器提供者(ドナーとそのご家族)の意思確認は明確になされているか?」などをはじめとして、さまざまな事柄についてを「肝移植適応検討委員会」と「倫理委員会」とで二重に検討・審議する体制を整えて、生体肝移植と脳死肝移植を行っています。
肝移植の対象になりうる病気
胆汁うっ滞性肝硬変
- 胆道閉鎖症
- 原発性胆汁性肝硬変
- 原発性硬化性胆管炎
- アラジール症候群 バイラー病など
肝硬変
- B型肝炎
- C型肝炎
- アルコール性
先天性代謝異常
- ウイルソン病
- シトリン欠損症
- 糖原病
- 家族性アミロイドポリニューロパチーなど
胆汁うっ滞性肝硬変
- バッド・キアリ症候群
肝細胞癌、肝類上皮血管内皮腫など
肝腫瘍
劇症肝炎
その他
- 多発嚢胞肝
- 自己免疫性肝炎など